青森県の津軽鉄道は、駅や車内の様子、走行している列車の風景を動画で配信し、視聴すると乗車した気分になれるコンテンツ「仮想乗車」を自社サイトで公開しています。
現在は第二弾として秋の情景が楽しめるシリーズを公開中です。津軽五所川原駅〜津軽中里駅間の津軽鉄道線を駅間ごとに区切り、不定期で新着動画がアップロードされています。
新型コロナウイルス感染症拡大による観光客の激減という、ローカル鉄道にとって厳しい局面を迎えた2020年4月、第一弾の「仮想乗車」が初めて配信されました。桜の花や新緑が美しい津軽の風景が収録された動画が並ぶページ内には「運賃」の振込先が掲載され、それに応えた支払いは2020年10月6日時点で215件、255万円を超える金額に達したと報告されています。
振り込みを行った方に対し、東海大学観光学部の学生が有志で行ったアンケートには、
「厳しい経営環境の中でコロナ騒動が追い打ちを掛け存続さえ危うい状態であり、少しでも役に立てればと思った。」
「運賃の支払いを訴える素直さに心動かされた。」
などの声が寄せられたといいます(同社サイトより抜粋)。「運賃」は寄付金として、車両修繕費をはじめとする諸経費に利用しているとのことです。
第二弾「仮想乗車」でも「運賃」の支払いができ、澤田長二郎社長名で「乗った気分になれたら運賃の振り込みを」とのお願い文が掲げられています。「Go Toトラベル」キャンペーンなどにより観光客は増え、津軽鉄道の乗客数は対前年比70%程度にまで回復したとのことです。しかし、鉄道存続のために安心できる状況ではなく、従来から募集している「レールオーナー制度」を含め、もうひと押しの支援を必要としているようです。